特色・主な対象疾患
2020年7月1日、乳腺・甲状腺センターを開設いたしました。
当センターでは月曜日から金曜日までの毎日、乳腺・甲状腺分野に関わる専門医が迅速な診断と専門的な治療を提供しております。また地域医療支援病院における乳腺・甲状腺センターとして、地域の医療機関との連携を重視した診療を心がけております。
当センターの特徴としては、乳腺外科、甲状腺外科、形成外科、内分泌内科などの診療科に薬剤科、放射線科・検査科・リハビリテーション科のスタッフおよび看護師、ピアサポーターなどが密接な連携をして診療を行っているところにあります。
乳腺疾患、甲状腺疾患いずれにおいても、手術、薬物治療、放射線治療など内科的、外科的の両側面で患者様のご要望に合わせた治療の選択を行っております。
主な対象疾患
- 乳 腺:乳がん、乳腺良性疾患、乳腺炎など
- 甲状腺:橋本病、バセドウ病、甲状腺良性腫瘍、甲状腺癌、副甲状腺機能亢進症など
診療内容
乳腺
乳腺疾患の治療の中心は乳がんです。乳がん治療においてはチーム医療が重要とされております。乳腺外科医を中心とし、各専門医や看護師、薬剤師、検査技師、リハビリテーション科、ピアサポーターなどでチームを形成し、それぞれの患者に最も適した治療を提供しております。特に当センターでは「乳がん情報提供室」を週3回(月・火・木)開設しており、いつでも自由にピアサポーターに相談できる体制をとっております。当センターでは診断から手術、術前術後薬物療法、進行再発乳がん治療、緩和療法に至るまで、乳がん診療を一貫して担当しております。
的確な診断
診断に際してはマンモグラフィー(トモシンセシス)、乳腺超音波検査、MRI、CTなどの画像診断と必要に応じてマンモトーム検査や針生検などの病理学的検査を追加することで、迅速でかつ的確な診断を行っております。
乳がん手術
乳がん手術は根治性とともに整容性も重要です。可能な方には乳房温存手術やセンチネルリンパ節生検といった縮小手術を行うことで侵襲や合併症を少なくし、かつ美容面でも優れた治療を提供しております。温存した乳房には再発予防の目的で放射線科と連携して原則的に放射線治療を行っております。センチネルリンパ節生検により腋窩リンパ節郭清が省略できれば患肢の浮腫や知覚異常が生じる可能性は大幅に減少します。一方で腋窩リンパ節郭清を施行した方には、術後にリハビリテーション科スタッフによるリハビリテーションを行い、術後リンパ浮腫の予防や改善に努めております。
乳房再建
乳房全摘術を施行する患者様には、失われた乳房を作り直す「乳房再建術」の選択枝を提示しております。再建を希望される方や再建に興味のある方には形成外科を受診していただきます。乳房再建には大きく分けて自家組織を使う方法とインプラント(人工乳房)を使う方法の2種類がありますが、乳房再建を行う場合はこれらの利点・欠点をよく検討したうえで使い分けることになります。
薬物療法
乳癌治療では手術と同様に薬物療法もとても重要です。乳がんの薬物療法にはおもに、化学療法(抗がん剤療法)、内分泌療法(ホルモン療法)、分子標的薬治療などの種類があります。当センターでは、日本乳癌学会による乳癌診療ガイドライン等の標準的コンセンサスを基に患者様のご希望も含めよく検討して、最終的な薬物治療の方法を決定しております。
甲状腺・副甲状腺
甲状腺センターでは、橋本病・バセドウ病などの機能性疾患や良性・悪性の腫瘍性疾患をはじめとする甲状腺疾患、原発性および続発性(腎性)副甲状腺機能亢進症などの副甲状腺疾患の診療をしております。内科と外科が連携し、適切な治療を提供できるよう務めております。
的確な診断と治療
甲状腺・副甲状腺は内分泌臓器であり、内科的・外科的な様々な疾患が生じます。採血や画像診断(超音波、CT、シンチなど)を駆使して的確な診断を心がけております。
甲状腺機能の異常(橋本病・バセドウ病など)では、まずは内科的な内服治療を行いますが、内服治療で治療困難なバセドウ病については手術適応になる事もあります。
副甲状腺機能の異常の場合には軽度であれば経過観察も可能ですが、手術が第一選択となる場合もあります。手術が困難な場合には薬物療法を選択することもあります。
甲状腺腫瘍については、多くは良性腫瘍であり治療を必要としない場合もありますが、良悪性鑑別困難な場合も少なくありません。確定診断のために手術が必要になる場合もあり、当院では内分泌外科(甲状腺外科)専門医が担当いたします。悪性腫瘍に対しては、手術による根治性と、合併症の可能性やその後の生活への影響を考慮して手術範囲などの治療方針を決定いたします。手術時には詳細な説明と情報提供を常に心がけております。
甲状腺癌に対する治療戦略
甲状腺癌に対しては、その病状に合わせて適切な手術範囲を設定して手術を行います。葉切除(半分の切除)で根治手術が可能な場合もありますが、全摘が必要になる場合もあります。個々の病状にあわせ、適切な治療方針をご説明し、納得いただいた上で治療を行います。
進行甲状腺癌に対する治療
手術だけでは根治不可能な症例に対しては分子標的治療薬により治療を行います。以前は甲状腺癌に効果がある薬剤はほとんどみられませんでした。現在は分子標的治療薬が登場し、手術だけでは根治不能な甲状腺癌に対して奏効する治療薬がようやく使用できるようになりましたが、様々な副作用があり、専門的な知識を持って使用する必要があります。当院では内分泌外科(甲状腺外科)専門医が分子標的治療薬の特性を理解したうえで適切な治療法をご提供しております。
外来受診について
初診受付日時
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乳 腺:月曜から金曜の毎日 午前8:30~11:00
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甲状腺:月曜から金曜の毎日 午前8:30~11:00
(甲状腺外科に直接受診・ご紹介の場合は月・水・木曜日にご来院ください) - 医療機関からのご紹介の際は、原則的に当院医療連携室を通して外来受診予約をお取り頂いております。
詳細は医療連携室をご覧ください。