消化器内科
診療方針
消化器内科はおなかの病気、具体的には食道から胃、小腸、結腸、直腸までの消化管疾患、肝臓、胆道、膵臓疾患の診療を担当しております。近隣の病院やクリニックの先生方、院内の他診療科の医師と連携をとりながら、総合病院の利点を生かした全人的な医療の提供を目指します。
また消化器内科では地域支援病院、神奈川県がん診療連携指定病院としての役割を果たすべく、日常遭遇することの多い消化器疾患の対応はもとより、専門性が高い先進的な医療にも対応し、なお一層地域医療に貢献してゆきます。
消化器内科が扱う臓器は多岐に及ぶため、扱う悪性腫瘍も多岐に及びます。早期の受診は最適な治療を導き、早期の治癒をもたらすものと考えております。気になるおなかの症状がございましたら、まずかかりつけ医にご相談いただき、精密検査必要となれば当科へ紹介していただいて下さい。またクリニックに通院中の患者さんの定期的な画像検査にも対応し、当科で行った検査結果はかかりつけの先生に提供させていただきます。
診療体制
外来診療は午前中の予約診察を3名の医師により行っております。新患、再来患者さんは予約診療の合間での対応となりお待たせする場合がございますので、かかりつけ医を通しての医療連携室経由の診療予約または1年以内の再来患者さんの場合は事前の消化器内科外来への電話による診療予約をお勧めいたします。ただし急患の場合は別途対応いたしますので、ご遠慮なく受付に申し出てください。
可能な限り初診当日に診断に近づくことができるよう、当日検査実施を積極的に行っております。特に上部消化管内視鏡検査、腹部超音波検査、CT検査は可能な限り当日実施させていただきます。ご希望の場合は受診前日の夜9時以降絶食(飲水は可)で来院してください。ただし担当医の判断でご希望に添えない場合もありますのでご了承ください。
検査は上部・下部消化管内視鏡検査、超音波内視鏡検査、小腸カプセル内視鏡検査、消化管造影検査、腹部超音波検査、腹部CT・MRI検査、尿素呼気試験などを内視鏡室、臨床検査部、放射線部と協力しながら行っております。
入院診療はA9病棟を中心として、外来から入院まで一貫した担当主治医制を基本とした診療を行っています。治療方針決定には週一回の症例検討会や消化器外科医師と意見交換するカンファレンスにより最善の治療の判断が行われます。
昨今内視鏡診断・治療の進歩により低侵襲治療が主流となっている中、当院の消化器内科と外科との連携は緊密であり、症例ごとに最適な治療が提供できるものと考えています。
当院は研修指定病院であり研修医、後期研修医の指導も行っております。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
主な対象疾患と診療内容
主な当科に関連する症状
おなかの痛み、背中の痛み、胸焼け、食物のつかえ、嘔気・嘔吐、食欲がない、おなかが張る、食欲がない、胃もたれ、血を吐いた、赤い便・黒い便が出る、便秘(回数減少、いきみあり、残便感)、下痢(回数増、水様便、軟便)、黄疸、急に体重が減った、発熱、体がだるい。
消化管疾患
腫瘍:食道癌、胃癌、小腸癌、大腸癌、消化管間葉系腫瘍(GIST)、消化管悪性リンパ腫、MALTリンパ腫などの悪性腫瘍、粘膜下腫瘍やポリープなどの良性腫瘍。
炎症性疾患:逆流性食道炎、急性胃粘膜病変(AGML)、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎、胃・十二指腸潰瘍、大腸憩室炎、感染性腸炎、腸結核、虚血性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管ベーチェットなどの炎症性腸疾患など。
機能異常症:機能性胃腸症、腸閉塞、便秘症、下痢症、過敏性腸症候群など。
肝疾患
肝炎ウィルスによる急性・慢性肝炎、肝硬変、食道静脈瘤。
他のウィルス性肝炎、薬剤性肝障害、アルコール性肝障害、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎・自己免疫性肝炎、肝膿瘍など。
腫瘍:肝癌、肝血管腫など。
胆道・膵疾患
腫瘍:胆嚢癌、胆管癌、膵臓癌、神経内分泌腫瘍(NET)などの悪性腫瘍、胆嚢ポリープや膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵嚢胞などの良性腫瘍。
炎症性疾患など:急性胆嚢炎、急性胆管炎、閉塞性黄疸、急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎、胆石・総胆管結石など。
診療内容
- 消化管出血に関しては24時間対応しています。吐下血で受診された場合、緊急で上部消化管内視鏡を行い必要であれば内視鏡的止血術を行います。血便で受診された場合は下剤使用の有無を判断し、早期に大腸内視鏡検査を行っております。
- へリコバクター・ピロリ菌の陽性例では、除菌治療を行っています。一時除菌不成功の場合は二次除菌まで保険診療で行います。
- 大腸ポリープは1cm程度までのポリープは日帰りで外来切除可能です。大きなポリープや多発ポリープの場合は短期間入院で内視鏡的大腸ポリープ切除術を行います。ただし、抗凝固剤服用中の方は薬剤休薬期間を設ける必要があり入院期間が延長されます。
- 消化管早期癌は内視鏡的粘膜切除術や粘膜下層剥離術が行われます。合併症がなければ8-10日間程度の入院が必要です。
- 消化管の進行癌、胆道・膵臓癌に関してはガイドラインに準拠し化学療法の他、放射線治療等を組み合わせた集学的治療により生命予後の改善を目指します。治療は入院治療の他、治療内容によっては外来化学療法も可能となります。
- 小腸カプセル内視鏡検査は平成28年10月より運用開始しております。詳細は 内視鏡のページ をご覧ください。
- C型慢性肝炎に対して、従来のインターフェロン治療に代わる副作用の少ない経口薬が使用できます。治療期間も12週間と大幅に短縮され、90%以上の治癒成績をあげています。
B型慢性肝炎に対しても経口薬を導入し、肝機能の安定化を図っています。
尚、治療には公費申請が必要になりますので御相談下さい。
- 原発性肝癌はラジオ波焼灼術、血管造影による塞栓術、抗癌剤の動注療法等を行います。
- 各種消化管狭窄(手術不能の食道がん、胃がん(幽門狭窄)、大腸がんによる狭窄)に対するステント留置術を積極的に行っています。また総胆管結石・胆道がん・膵臓がん等による閉塞性黄疸に関してもステント留置により減黄を行っています。
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)に対してはCAP療法を透析室、生物学的製剤投与を化学療法室の協力のもと患者さんのライフスタイルにあわせて、現在行える治療法を組み合わせることで適切な医療の提供を行っています。炎症性腸疾患は一生付き合っていく疾患だけに、遠方の病院で通院をご苦労されている患者さんは、ぜひ地域完結型の医療を目指す当院で対応させていただきたく存じます。
診療実績
2023年度
患者数 | |
外来患者数 | 新患2,361名、再来16,198名、延べ18,559名 |
入院患者数 | 1,597名 |
各種検査数 | |
上部消化管内視鏡検査 | 5,982件 |
内視鏡的止血術 | 134件 |
内視鏡的ポリープ切除術+内視鏡的粘膜切除術(EMR) | 6件 |
内視鏡的硬化療法(EIS)、静脈瘤結紮術(EVL) | 19件 |
内視鏡的胃瘻造設術(PEG) | 2件 |
上部内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) | 52件 |
下部消化管内視鏡検査 | 2,327件 |
内視鏡的ポリープ切除術+内視鏡的粘膜切除術(EMR) | 1,007件 |
下部内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) | 36件 |
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP) | 211件 |
超音波内視鏡検査 | 45件 |
バルーン小腸内視鏡検査 | 5件 |
カプセル小腸内視鏡検査 | 8件 |
パテンシーカプセル検査 | 3件 |
消化管ステント留置術 | 17件(食道:3件、胃十二指腸:1件、大腸:13件) |
経皮経肝胆管ドレナージ術(PTCD) | 1件 |
経皮経肝胆嚢ドレナージ術 | 4件 |
肝動脈塞栓術・動注療法 | 4件 |
肝生検・腫瘍生検 | 8件 |
指導施設
日本内科学会認定医制度教育病院
日本消化器病学会認定施設
日本消化器内視鏡学会認定施設
日本静脈経腸栄養学会NST稼働施設
日本胆道学会指導施設
日本消化管学会胃腸科指導施設
日本消化器がん検診学会認定指導施設
スタッフ
医師 | 資格 | |
西山 竜 |
統括部長 |
出身大学 日本大(平成7年卒) |
菊地 秀彦 きくち ひでひこ |
部長 |
出身大学 岡山大(平成7年卒) |
北川 博之 きたがわ ひろゆき |
医長 |
出身大学 北里大(平成19年卒) |
坂部 勇太 さかべ ゆうた |
医員 |
出身大学 北里大(平成28年卒) |
今井 健太 いまい けんた |
医員 |
出身大学 北里大(平成30年卒) |
比留間 智紀 ひるま とものり |
医員 |
出身大学 北里大(平成30年卒) |
岡田 俊二 おかだ しゅんじ |
医員 |
出身大学 日本大(令和3年卒) |
野登 誠 のと まこと |
部長 |
出身大学 島根医科大(昭和57年卒) |
最後に当科では後期研修医を募集しています。随時見学や質問を受け付けておりますのでお気軽に連絡を下さい。総務課 TEL:0463-32-1950まで。