腎臓内科
診療方針
腎臓内科では、腎臓病全般の早期発見と早期介入を行い、最終的に腎不全にならないことを目標に治療を行っております。また腎不全となり、その後透析治療が必要となった方の治療を行っております。
腎臓病に対する最新かつ高度な知識や技術の研鑽を常に心がけるとともに、かかりつけの先生、もしくは当院の各診療科医師や医療スタッフ等とともに、患者さんにとってどのような治療が最善であるかを考えていきます。
主な対象疾患と診療内容
蛋白尿 血尿
健康診断やかかりつけ医に通院中の尿検査で、蛋白尿もしくは、蛋白尿と血尿の両方の継続を指摘された場合には、慢性糸球体腎炎の可能性があります。慢性糸球体腎炎の確定診断には、超音波ガイド下の経皮的腎生検を行います。慢性糸球体腎炎では、腎生検での診断後に必要に応じてステロイド治療や免疫抑制剤の治療を行い、腎不全への進展を防ぎます。
また、蛋白尿、血尿が継続する比較的高年齢のかたのなかには、数週から数ヶ月で急速に腎不全が進行する、急速進行性糸球体腎炎という病気があります。早期発見、早期治療により透析治療を回避できます。
慢性腎臓病
慢性腎臓病とは、英語ではCKD (Chronic Kidney Disease)といい、慢性糸球体腎炎や高血圧、糖尿病など原因は様々ですが、蛋白尿などの腎臓の障害、もしくはGFR:糸球体濾過量(しきゅうたいろかりょう)60mL/分/1.73m2未満の腎機能低下が3か月以上持続するものと定義されています。日本腎臓学会によると、この慢性腎臓病に当てはまる人が軽症の人をふくめると成人の約8人に1人、そのうち進行して腎不全に至る危険性のある患者数は成人の約20人に1人(約580万人)であると推計されています。
慢性腎臓病の特徴として、高血圧や糖尿病などの生活習慣病や、メタボリックシンドロームとのかかわりが強いことがあげられます。また慢性腎臓病の初期には自覚症状はなく、進行してはじめて、むくみや息切れなどの症状がでてきます。
慢性腎臓病があると、脳卒中や心筋梗塞など心血管病を発症しやすいことが知られています。また、慢性腎臓病が進行して腎不全になると体から老廃物をとりのぞけなくなり、最終的には透析治療や移植治療が必要になります。
腎臓は病気がある程度までわるくなってしまうと、もとの正常な状態には回復しませんが、生活習慣の改善や薬物治療により病気の進行をおくらせることができます。
慢性腎臓病で当院の腎臓内科にご紹介をいただいた患者さんには、医師からの治療だけでなく、栄養士からの栄養指導や、腎臓病に精通した看護師による相談や生活指導(慢性腎臓病看護相談外来)も行っています。
また、生活指導の一環として、慢性腎臓病の患者さんに対して入院(慢性腎臓病教育入院)を行っております。興味のある方はぜひ外来でご相談ください。2020年度からCKDの患者さん及び御家族様を対象に、慢性腎臓病教室を行っております。
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急性腎障害
急性腎障害(AKI:Acute Kidney Injury)は、数時間から1週間程度の急な時間に腎臓の機能が低下する病気です。原因は、脱水などによる腎臓への血流の減少、腎毒性の強い薬による副作用や長期間の血流低下などによる腎臓そのものの障害のほか、尿の通りみちに結石などができて閉塞するものがあります。診察や検査により、原因を明らかにし、その原因の解除を目指します。AKIは、早期の治療と原因が解除されれば、数日間で腎機能は回復する可能性があります。
透析治療(血液透析 および 腹膜透析)
慢性腎不全が進行して尿毒症症状が出現した場合には、体の血液を浄化する働きを腎臓に代わって行う透析治療を行う必要があります。
透析の方法は大きく分けて、血液透析と腹膜透析の2つがあります。血液透析は機械に血液を通して濾過するもので、腹膜透析は自分のおなかの腹膜を濾過装置として使います。
当科ではいずれの治療の開始および外来での継続治療も行っております。また透析開始となる前の時期に、腎移植を含めた腎代替療法についての説明を行い、透析認定看護師による慢性腎臓病相談外来にてどの治療がよいかを考えていただきます。腎移植をご希望の方には他の病院を紹介させていただきます。
スタッフ
医師 | 所属学会 ・ 資格 | |
藤井 徹郎 ふじい てつろう |
部長 | 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医 日本腎臓学会専門医・指導医 日本透析医学会専門医・指導医 |
西田 秀範 にしだ ひでのり |
医長 |
医学博士 |
平井 俊行 ひらい としゆき |
医長 |
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医 |
宮﨑 貴規 みやざき たかのり |
日本腎臓学会専門医 |
|
池下 佳秀 いけした かほ |
日本内科学会認定内科医 |
施設認定
日本腎臓学会研修施設
日本透析医学会認定施設
慢性腎臓病看護相談外来
ご紹介
当院では週2回『慢性腎臓病看護相談外来』を行っています。担当は慢性腎臓病療養指導士の資格を持つ4人の看護師が担当しています。
慢性腎臓病は進行の度合いによって1~5までのステージにわけられます。慢性腎臓病保存期の、主にステージ3から5の患者さんを対象に、主治医から依頼があった患者さんと面談を行っています。
当院の外来では、診察及び栄養士による栄養指導、看護師による日常生活全般の指導を受けることが出来ます。生活改善や食事療法、薬物療法を行うことで、残っている腎臓の機能を保つことが出来ます。慢性腎臓病看護相談外来では、患者さんとそのご家族の生活の状況を理解し、慢性腎臓病の進行を遅らせる手伝いをしています。
慢性腎臓病教育入院
ご紹介
当院では慢性腎臓病の患者さんを対象に、自らの腎臓病についてより深く理解し、腎臓病食の具体的なメニューや内服の重要性の確認、今後の腎臓病の進行を予防することによる、将来にわたる生活の質を上げる目的での教育入院プログラムを作成し、教育入院を行っております。外来通院治療では得られない日常生活全般の見直しの実際について入院を通して体験していただきます。教育入院は通常1週間としておりますが、週末しか時間のとれない患者さんについては週末のみのより簡素化したプログラムも用意しております。