放射線科
診療方針
各種疾患の診断と治療に結びつく適切な検査の実施、迅速な読影診断を行い、質の高い画像診断を提供することを心がけています。現在では放射線を用いた画像検査は必要不可欠となっています。放射線を用いた画像診断は患者さんに多大な利益をもたらす一方、放射線被ばくによって患者さんに健康影響をもたらす潜在的な危険性の懸念があります。診療の質が保たれることを条件として被ばく線量をできる限り低くすることに常に留意しています。放射線科では2012年11月に医療被ばく低減施設を日本で34番目の施設として取得し、2018年3月に更新を行っているが、今後も更新を目指し、患者さんの医療被ばく低減に考慮した施設を維持していきます。放射線科では非常に多くの検査を日々行っています。医療事故防止マニュアルを遵守し、医療事故のリスクを低減することに努めています。
CT、MRI等での画像診断は3D表示や新しい撮像法が次々と開発されています。可能なかぎり時代に即した最新の画像診断に対応していきます。
また、他院からの画像診断検査の依頼にも医療連携室を介して対応し、迅速に診断レポートを作成しています。
放射線治療では、各科の依頼に合わせて多くの悪性腫瘍と一部の良性疾患に対して放射線治療を行っています。当院は、2012年4月1日より がん治療における手術、放射線治療、化学療法等の実績が評価され、神奈川県より「神奈川県がん診療連携指定病院」の指定を受けました。県民に高度ながん医療を提供するため、神奈川県が認定した病院です。
治療方針の決定は、各科専門医との協議の上、EBM(Evidence Based Medicine:科学的根拠に基づく医療)の実践に心がけています。個々の患者さんに最も適した治療法を安全に提供できるように努めています。
ご紹介
当院放射線科は、放射線画像診断部門、放射線治療部門から構成されております。
日本診療放射線技師会の医療被ばく低減施設に認定されています。
詳細は、下の画像をクリックしてご覧ください。【PDF】
放射線画像診断部門
一般撮影室 | 乳房撮影室 | 骨密度測定室 | |
設備
設備一覧 | ||
一般撮影室 | 5室 | 撮影室 4室、乳房撮影室 1室 |
X線透視室 | 2室 | 消化管造影検査、内視鏡関連検査、多目的造影検査 |
骨密度測定室 | 1室 | 全身対応型 骨密度測定装置 |
CT検査室 | 2室 | CT装置 2室 |
血管造影室 | 2室 | 多目的装置 1室 心臓血管専用装置 1室 |
MRI検査室 | 2室 | 1.5T装置 1室 3.0T装置 1室 |
RI検査室 | 1室 | 全身&SPECT対応機種 |
一般的にレントゲン検査と言われる、単純X線撮影検査です。合計4台のFPD(フラットパネルディテクタ)装置を使用し、胸腹部・骨撮影を行っています。 当院はデジタル処理を行う撮影システムを導入し、被曝低減に努め、各部位において最適な画像を作成、提供しています。 また、撮影に際しましては患者さんの待機時間短縮のため、空いている撮影室を随時使用しております。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。 |
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1室
マンモグラフィ検診施設画像認定を取得し、認定技師6名にて撮影を行い、マンモグラフィ検診や診療を行っています。フラットパネル型乳房撮影装置を使用しています。 この装置の最大のメリットはTomosynthesis(トモシンセシス)という断層撮影が出来ることです。日本人女性の乳房は高濃度乳腺が多く、従来のマンモグラフィでは乳腺に重なって見えづらかった微小な石灰化や腫瘤の辺縁が断層画像でははっきり見ることができます。 その他にもたくさんの特徴があります。患者さんそれぞれの乳房の弾力抵抗に応じて、圧迫の速度や圧力のかけ方をコントロールし、痛みを最小限に抑えながら高画質撮影が行えます。
マンモトーム生検は乳房にメスを入れず針を刺して組織を切り取るので、大きな傷を作ることなく組織生検を行うことができます。 2023年3月、マンモトーム装置が更新され(Mammotome resolve)、採取された検体をその場ですぐに撮影できる専用の撮影装置(Mammotome Confirm)も導入されました。この検体撮影装置の導入により、検査時間の短縮が可能になり、従来に比べ微小石灰化をより鮮明に写し出すことができるようになしました。
当院では、外科外来と協力して、乳がんを体験したコーディネーターと交流する場を設けています。 |
骨密度測定検査は、骨粗鬆症の診断や治療効果判定、経過観察に有用な情報をもたらす検査法として広く臨床に用いられています。 当院では、精度の高い骨密度測定が可能な二重エネルギーX線吸収法(DEXA法)を用いて、腰椎と大腿骨頚部の骨密度を測定します。日本人の骨密度データを元に結果を提供しています。 また、装置の更新によりTBS(海綿骨構造指標)解析が可能となりました。骨の内部の微細構造を解析し、骨折のリスクの部分を評価する方法です。 この検査は、非常に被曝の少ない検査で、息止めの必要がなく、検査台に仰向けに寝ていただくだけで検査ができます。 |
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当院では、2024年1月より1台のCT装置を入れ替え、Canon社製 Aquilion ONE/INSIGHT Editionを導入いたしました。 従来使用していた装置に比べ、検出器の幅が4倍の16cmとなり、頭部や心臓などの臓器をよりきれいに撮像することができるようになりました。 またAI技術や超解像画像再構成技術が採用されており、低被ばくで身体への負担の少ない検査を実現しています。 健診センターでは、低線量で行える肺がんCT健診や、CTによる腹部内臓脂肪測定などを行っています。 また病診連携室を通し、近隣の開業医よりCT検査のご紹介を承っています。 |
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2室(多目的装置1室、心臓血管専用装置1室)
血管撮影室では、手首や足の付根の血管からカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、血管に造影剤を注入して、血管の狭いところや詰まっているところ、動脈瘤などの血管性病変や腫瘍の診断及び治療を行います。 主な部位として心臓の冠動脈、脳血管、腹部血管(主に肝動脈)の検査を行っています。 当院の血管撮影室は2室あり、心臓血管専用の装置と2方向からの撮影が可能な多目的装置があります。
主に不整脈に対するアブレーションや、頭頸部の血管異常の検索と治療、肝臓の腫瘍性病変への栄養血管の塞栓術、透析患者さんに対するシャントPTA(経皮的血管形成術)を行っています。
冠動脈の造影検査を行い、狭窄や閉塞などの異常が見られた場合は治療を行います。また、ペースメーカーやICD等の体内埋込型装置の挿入や、末梢血管に対する治療も行っています。 |
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【MRI検査室】
MRI検査は、強力な磁石と電波を使って磁場を発生させて行います。強力な磁場が発生しているトンネル状の装置の中で、様々な周波数の電波を体にあて、体の内部の断面をさまざまな方向から画像にします。磁場を発生させるときに、装置から工事現場のような大きな音がするため検査中はヘッドホンや耳栓を装着して行います。特徴として画像コントラストが良く病変部が分かり易く描出され急性期脳梗塞診断には非常に有効な検査です。また一般のX線検査では写し出すことが難しい病変(腹部、心臓など)も映し出すことが可能です。 特殊検査として造影剤を用いることなく短時間で、末梢血管描出を行う"QISS"(Quiescent Interval Single Shot)を使って四肢血管の閉塞を発見することが可能です。また、脳梗塞やてんかんの診断に脳血流評価が行えるASL (arterial spin labeling)検査や、早期アルツハイマー型認知症(早期AD)の診断支援ソフト(VSRAD)も導入し、診断を行っています。 |
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1室(全身&SPECT対応機種)
RI検査は、放射線を放出する放射線同位元素を体内に投与して、臓器、病変部に集積した薬からの微量な放射線を体外からカメラで撮影して、画像診断を行います。 認知症の診断に有用なMIBGシンチ、ダットスキャンも行っています。 |
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放射線科病診連携患者数
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
病診連携患者数 | 1,039件 | 951件 | 735件 | 712件 | 857件 |
放射線治療部門
当院の放射線治療は2002年4月より開始されており、2019年1月治療機器の更新に伴い、現在、最先端の放射線治療装置Varian社製TrueBeamが稼働しています。
放射線治療部門では診断から患者さんの診察、治療の個別化、治療の適否を検討した上で、治療の計画・体位設定・治療の実施・経過観察を日常業務としています。
その業務の中で重要なことは、ある一定の確率で生じ得る放射線障害に精通し、治癒と障害の狭間でいずれを優先することが患者さんに恩恵をもたらすのかを常に検討しています。
また、超高齢者、麻酔や手術に耐えられない、化学療法剤を使い難いなどといった場合も少なくない現状から、全身的な負担が少ない、臓器や機能の温存が可能、低侵襲で治療効果も高い放射線治療は、癌を狙い撃ちする技術の進歩とともに癌の治療戦略には欠かせない手段です。
放射線治療専門医中心に、放射線治療専門技師・看護師、さらには診療各科の医師と連携、個々の患者さんに最も適した治療方法を選択、治療スタッフ一丸となって診療しています。
高エネルギー放射線照射装置(リニアック) VARIAN社 TrueBeam
当院の装置は6MVと10MVのX線および4種類の電子線を発生させることが出来ます。
病巣の深さによりエネルギーや線種を変えて治療していきます。
1回の治療時間はポジショニングを含めて10~15分(照射時間は1~3分)ぐらいです。 CT(CBCT)やX線画像(kv-image)を使って病巣部位の位置合わせ(matching)を行うことで高精度な放射線治療が行えます。
またAlignRTを使ったSurface Guided Radiation Therapy(SGRT)も可能です。AlignRTは体表面にランダム斑模様の赤色光をあて高精度カメラでスキャンすることで高精度三次元体表面を作成します。
その高精度三次元体表面を使い放射線を使わずに高精度なポジショニング及び照射中のモニタリングが行えます。放射線治療は痛みや熱さなど体に感じることがない治療方法です。
治療計画装置 VARIAN社 Eclipse
EclipseはCT撮影を行い、その画像を用いて実際に照射する大きさや照射線量、照射角度などを決定する。現代の複雑な治療技法を簡便に計画立案可能な包括的治療計画システムです。
放射線治療スタッフ
放射線治療のスタッフは非常勤の放射線治療専門医が2名、専従の診療放射線技師が1名、ローテーションの診療放射線技師2名、専任の看護師が1名で行っています。
スタッフ
医師 | 資格 | |
武内 弘明 たけうち ひろあき |
部長 | 医学博士 放射線診断専門医 PET核医学認定医 肺がんCT検診認定医 マンモグラフィ読影認定医 |
裵 慧烈 べい へよる |
医学博士 放射線診断専門医 核医学専門医 |
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山梨 俊志 やまなし しゅんじ |
非常勤医師 | 医学博士 放射線治療専門医 |
吉村 亮一 |
非常勤医師 |
医学博士 |
診療放射線技師 | 23名 |
看護師 | 4名 |
事務員 | 3名 |
診療放射線技師の取得認定
第一種放射線取扱主任者 | 2名 |
X線CT認定技師 | 2名 |
日本磁気共鳴専門技術者 | 1名 |
放射線治療専門放射線技師 | 2名 |
インターベンション専門放射線技師 | 1名 |
検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師 | 7名 |
肺がんCT検診認定放射線技師 | 1名 |
放射線治療品質管理士 | 1名 |
放射線管理士 | 7名 |
放射線機器管理士 | 6名 |
Ai認定診療放射線技師 | 1名 |
実習施設指導者 | 2名 |
画像等手術支援認定放射線技師 | 2名 |