病理診断科
診療方針
病理診断を行う病理診断科の法律上の認定は2008 年に国から認められ、病理医と臨床検査技師が一体となって病理診断に精進することが出来るようになり、平塚共済病院でも 2013 年 4月に病理診断科が正式に発足しました。患者さんを中心としたよりよい医療のために、表に出る機会は少ないですが、「縁の下の力持ち」と言った感じで協力していきたいと考えています。
主な対象疾患と診療内容
患者さんの診断・治療のための病理診断を担当しています。
臨床医の先生が患者さんの「生検・細胞診検査」のために採取した検体、外科的手術で切除した「手術材料検体」について、我々が病理診断を行います。検体はホルマリンで固定し、手術材料では肉眼的観察、写真撮影の後、包丁で切り、割面から代表的な組織片を採取します。生検ではすべての組織を、手術材料では代表的な組織片を、アルコール脱水、パラフィン包埋、ブロック作成、4μへの薄切、スライドガラスへの貼り付け、染色といった作業、実に職人技の手間暇をかけて病理組織標本が作製されます。それを顕微鏡で観察して病理診断を行います。
そこでは、
1.良性病変なのか?病気の本体、原因は何なのか?更なる検査が必要かどうか?
2.悪性病変なのか?悪性なら取り切れているかどうか?どの程度の悪性なのか?どういう治療が適切なのか?
と言ったことが問題となります。患者さんの体を傷つけてむやみに組織を採取するのは問題ですが、診断、治療にどうしても必要な時は病理診断が役に立つと思われます。
加えて、体腔液などから細胞を採取し、良性か悪性かを判定する「細胞診断」、手術中に病変部組織から凍結切片を作成し顕微鏡で観察して診断し、手術方針の決定に寄与する「迅速診断」も行なっています。必要に応じて「免疫学的検査(蛍光抗体法、酵素抗体法)」、「悪性腫瘍の遺伝子検査」、「電子顕微鏡検査」も行います。
組織検体を受け取ってから病理診断に至るには、人の手のかかるものです。他の機械を使って測定する検体検査と違って、検体を提出さえすれば検査結果が自動的に帰ってくるのとは違う点を十分に理解してください。また臨床情報がきちんと病理側に伝わらないと適切でない部位を切り出して誤った診断をする危険性があることもあり、臨床側も病理のことをよく理解していただきたいことです。
がん患者さんの手術材料、生検材料での診断、X線やCTといった画像診断や治療方針の検討会、「Cancer Board (CB)」と言いますが、これを呼吸器科、消化器科、放射線科と一緒に、「呼吸器CB」、「消化器CB」として行い、また、腎臓内科と「腎生検カンファレンス」も行っています。
不幸にして病院で亡くなられた患者さんの死因を究明するため、また治療が適切であったかなどを調べるための「病理解剖」も行っています。この病理解剖報告をもとに、「臨床病理検討会、Clinico-pathological Conference (CPC)」と言いますが、これも定期的に行っています。医療レベルの向上につながるものと考えています。
診療実績
細胞診断 4,151件、組織診断 3,879件、術中迅速診断 71件、遺伝子検査 486件、電子顕微鏡検査 23件、免疫組織検査 532件、病理解剖 8件。
(令和5年4月1日~令和6年3月31日)
スタッフ
医師 | 資格 | |
松原 修 まつばら おさむ |
部長 |
東京医科歯科大学医学部卒業(昭和47年)、 |
非常勤の病理専門医師
藤井 誠志(横浜市立大学)、山中 正二(横浜市立大学)、長嶋 洋治(東京女子医科大学)、
木原 淳、長濱 清隆(杏林大学)