臨床検査科

臨床検査科

臨床検査科 概要

臨床検査科は34名(男性11名、女性23名)の臨床検査技師が在籍しています。
安全で質の高い検査結果を迅速に患者さん、診療科に提供することを目指しています。
業務内容は患者さんの採血業務からはじまり、患者さんから得られた血液・尿・体腔液・便などを検体として検査を行う検体検査(一般検査、生化学検査、免疫血清検査、血液検査、細菌検査、病理検査)と心電図検査や超音波検査など患者さんを直接検査する生理検査を行っています。
病院内の活動として糖尿病診療チームや感染対策チーム(ICTAST)、NSTチーム等、チーム医療への参画、他職種の負担軽減を目的としたタスク・シフト/シェアの取り組みも行っています。
臨床検査の精度を維持する為に、検査技術や知識を高水準に保てるように自己研鑽に励んでいます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

施設認定

・日本臨床細胞学会施設認定

外部制度管理

外部の精度管理(=検査結果の精度)に参加することで検査結果の安定性を保っています。

・日本医師会臨床検査精度管理調査
・日本臨床検査技師会臨床検査精度管理調査
・日本臨床検査技師会臨床検査精度管理調査POCT
・神奈川県臨床検査精度管理調査
・日本臨床細胞学会施設認定制度コントロールサーベイ

当科の認定資格の状況

各学会の認定資格を取得することで個々の知識や技術の向上に努めています。

・日本臨床細胞学会認定細胞検査士
・国際細胞学会認定細胞検査士
・認定病理検査技師
・認定臨床微生物検査技師
JHRS認定心電図専門士
・日本超音波医学会認定超音波検査士(循環器領域、血管領域、体表臓器領域、消化器領域、泌尿器領域)
・乳房超音波技術講習会試験 評価B
・日本不整脈心電学会 心電図検定 (1級、2級、3級)
・二級臨床検査士(血液学、微生物学、循環生理学、神経生理学、病理学)
・緊急臨床検査士
POCT測定認定士
・神奈川糖尿病療養指導士
・認定認知症領域検査技師
・認定POCコーディネーター
・特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者
・有機溶剤作業責任者
・一般毒物劇物取扱責任者

一般検査

主に尿、便、腹水、胸水、髄液などの検体を扱う部門です。
これらの検体の成分分析や細胞の検査をしています。
なくてはならない大事な検査部門です。

おもな検査項目

【尿検査】

  • 尿定性・定量検査
    尿定性・定量検査尿は血液中の老廃物がろ過され、体外に排泄されたものです。
    一日に約1.5リットルの尿が作られます。
    尿の成分を調べることによって身体の異常が早期に発見できます。
尿定性検査 比重、PH、タンパク、ブドウ糖、ケトン体、潜血、ウロビリノーゲン、
ビリルビン、亜硝酸塩、白血球反応
尿定量検査 タンパク、糖

  • 尿沈渣
    尿中の細胞を調べる検査です。
    どのような細胞がどのくらい出ているのかを顕微鏡で観察しています。
    腎臓や膀胱などの疾患に対してとても重要な検査です。

尿検査01 尿検査02
尿検査03 尿検査04

【糞便検査】

・潜血反応
消化管からの出血を調べる検査です。特に大腸がんの早期発見に欠かせない検査です。

【髄液検査】

・髄液の成分分析や細胞の検査を行います。髄膜炎の診断に欠かせない検査です。

【体腔液検査】
・腹水や胸水などの成分分析や、細胞の検査を行います。

生化学検査

生化学検査とは血液や尿に含まれている様々な成分を化学的に分析することです。
それぞれの成分の濃度を測定することによって、身体のどの部分に異常があるのか知ることができます。
分析が正しく実施されているか、前回値と大きな違いがないかを確認し、必要ならば再検査します。
信頼できる検査結果を診療科の電子カルテに報告しています。

生化学検査01 生化学検査02
生化学検査03 生化学検査04

主な検査項目

肝機能 総蛋白、アルブミン、AST、ALT、LD、ALP、γ-GTP、ChE、ビリルビン
腎機能 尿素窒素、クレアチニン、尿酸、Na、K、Cl、Ca、IP
膵機能 アミラーゼ、リパーゼ
心臓・筋疾患 CK、CK-MB、BNP、TnI
脂質代謝 総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪
糖尿病関連 血糖、HbA1c
炎症反応 CRP、PCT
血中薬物濃度 フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン、テオフィリン、ジゴキシン、バンコマイシン

免疫血清検査

人間は、外部から入ってきた異物(病原体など)に対して、「免疫」という防御機能で身体を守ります。
このとき身体の中でつくられるのが「抗体」といわれるタンパク質です。
この抗体や腫瘍マーカーなどを調べることで病気にかかっているかどうかを知ることができます。

主な検査項目

感染症 肝炎ウイルス(B型肝炎、C型肝炎)、梅毒検査、HIV検査、COVID-19
自己免疫 リウマチ因子、MMP-3
腫瘍マーカー AFP、CEA、CA19-9、CA125、CA15-3、PSA
甲状腺マーカー TSH、FT3、FT4、TRAb

スタッフ 4名(一般、生化学、免疫血清合わせて)

血液検査

血液検査室では、自動血球分析装置で血球(赤血球、白血球、血小板)の数やヘモグロビン濃度(貧血の指標)などの項目の測定や血液を固まらせる働きに異常がないか、ワーファリン(血液をサラサラにする薬)などのモニタリング検査を行っています。
また、機械で判定できない細胞(腫瘍細胞や白血病細胞)を顕微鏡で検査しています。
白血病などの血液疾患が疑われる場合は、骨髄(骨の中にある血液を作る工場)を検査して、病気の診断や治療のサポートを行っています。

全自動血球分析装置

血液中の細胞(赤血球,白血球,血小板)の数、血色素量、ヘマトクリットなどを検査し、貧血や多血症の診断、出血傾向や血栓症などを調べます。また、化学療法後の骨髄抑制の状況を調べます。

全自動血球分析装置

血液凝固検査装置

血液が凝固するまでの時間を調べ,心筋梗塞や脳梗塞などで抗凝固作用のあるお薬(血液をサラサラにする薬)を投与されている患者さんの薬の効果の確認や手術や処置の時に正常に止血するかを調べます。

血液凝固検査装置

骨髄穿刺検査数

スタッフ 4名

細菌検査

細菌検査室では、喀痰、咽頭粘液、便、尿、胸水、腹水、性器分泌物、血液、膿、臓器などさまざまな材料(=検体)で検査を行っています。

細菌検査1 細菌検査2

検体を受け付けると

検体の中から病気の原因となる菌(=起炎菌)を見分け、菌の名前を判定します(=同定)。
喀痰や便にはもともとたくさんの菌が存在しますが、その中から起炎菌を見分けます。
さらに、その菌に効く薬(=薬剤感受性)を調べます。

緊急を要するとき

血液や髄液には本来細菌はいません。
無菌的な検体に菌がいることが分かったら直ちに医師に報告しています。
今話題の結核菌も塗抹検査という方法で陽性の場合直ちに医師に報告しています。
塗抹検査が陽性ですと他のひとに感染させる危険性が高いといえます。

細菌検査3

新型コロナ(COVID-19)検査も実施しています

【COVID検査数】

2020年 2021年 2022年
4,536 14,023 18,548

細菌検査4 細菌検査5
抗原定量検査機器 PCR検査機器

スタッフ 4名

生理機能検査

心電図検査

心臓が拍動する時に微弱な電気が心臓の筋肉から発生します。
その電気信号を胸部、両手足につけた計10個の電極より記録し波形にしたものです。
主に不整脈や心筋梗塞、狭心症の疑いがあるか調べます。

【負荷心電図(マスター二段階テスト、トレッドミルテスト)】
階段やベルトコンベアで運動して心電図の変化をみます。狭心症などの虚血性心疾患などの診断に有用です。

トレッドミルテストのベルトコンベア
トレッドミルテストのベルトコンベア

【ホルター心電図(24時間心電図)】
通常の心電図は数十秒程度の記録となり異常を捉えられないことがあります。
そのため、24時間小型の心電図を装着し日常生活の中の心電図異常を見つけます。

肺機能検査、呼気NO検査

鼻から息がもれないようクリップでつまみ、筒をくわえて検査技師の声に合わせて息を吸ったり吐いたりしてもらいます。肺活量、努力性肺活量、残気量、肺拡散能などを測定し、閉塞性疾患(COPD)、拘束性疾患(肺線維症など)、喘息を判定します。
呼気NO検査では気管支喘息の指標となる呼気一酸化窒素を測定します。
COVID-19の感染状況に応じて、HEPAフィルターなどを使用し感染対策を講じ検査を行っています。

肺機能検査装置 肺機能マウスピース 呼気NO検査装置
肺機能検査装置 肺機能マウスピース 呼気NO検査装置

超音波検査(エコー)

体の中に超音波を送信し、臓器や組織からはね返ってくる信号を映像化して検査を行います。
被爆の心配がなく、痛みもほとんどありません。

【心臓超音波検査】
心電図ではわからない心臓の動きや大きさ、弁膜症などがわかります。

【腹部超音波検査】
肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓などに異常がないかを調べます。

肝臓 腎臓
肝臓 腎臓


【表在超音波検査】
甲状腺、乳腺などに異常がないかを調べます。

甲状腺
甲状腺

【血管超音波検査】
頚動脈、下肢動脈、下肢静脈、透析シャント血管を評価します。
動脈硬化により血管の壁が厚くなっていないか、血管が狭くなっていないか、静脈内に血栓がないかなどを観察します。

頸動脈
頸動脈

脳波検査

頭皮上に電極をつけ微弱な電気信号を記録し波形にした検査です。覚醒時と睡眠時の状態を記録します。

脳波計 脳波室ベッド
脳波計 脳波室ベッド

【聴性脳幹反応(ABR)】
頭と耳付近に電極をつけヘッドホンを装着し、脳幹への音の伝わる時間や波形を記録します。

筋電図検査

【神経伝達検査】
末梢神経を皮膚上で電気刺激を行ない誘発された電位を記録し、波形の伝導速度や振幅などを測定します。
末梢神経の障害などを調べます。

【顔面神経誘発筋電図:ENoG】
顔面神経を刺激し筋電図として記録します。

血圧脈波検査

【CAVI/ABI】
両腕、両足首の血圧をそれぞれ同時に測定することで、動脈硬化や末梢動脈疾患(PAD)の検出、診断をします。
CAVI(心臓足首血管指数):動脈の硬さを反映する指数
ABI(足関節上腕血圧比):下肢動脈の狭窄・閉塞を評価する指標

【SPP(皮膚灌流圧)】
末梢動脈の血流を評価します。

睡眠時無呼吸検査

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea SyndromeSAS)の診断に下記の検査を用います。

【SAS簡易検査】
寝る前にご自身でセンサーを着けていただき自宅で検査を行います。
手指にパルスオキシメーターと鼻に呼吸センサーを装着し寝ていただきます。
睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査として用いられます。

【PSG検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)】
一泊入院して検査を行います。一晩の脳波、筋電図、胸部・腹部の呼吸運動、SpO2、心電図などを同時に記録します。
睡眠時無呼吸症候群の精密検査として用いられ、確定診断や重症度の診断を行います。


生理機能検査実績 (実施件数)

2016
年度

2017

2018
年度

2019
年度

2020
年度

2021
年度

2022
年度

心電図 15,602 15,383 16,652 17,117 17,048 18,857 18,859
ホルター心電図 1,332 1,570 1,709 1,737 1,623 1,849 1,605
肺機能 4,108 4,229 4,444 4,913 1,157 844 1,402
脳波・筋電図 646 533 531 508 536 589 539
ABI 1,370 1,229 1,477 1,336 1,370 1,313 1,272
心エコー(経食道心エコー含む) 3,238 3,840 4,025 4,122 4,224 4,758 4,476
腹部エコー 2,833 3,038 3,081 3,245 3,021 3,526 3,262
血管エコー 1,225 1,133 1,131 1,237 1,336 1,503 1,234
甲状腺・乳腺エコー 1,757 1,824 1,809 1,930 1,767 2,349 2,441
PSG(簡易法含む) 310 415 387 493 483 646 744

スタッフ

臨床検査技師 13名、事務 1名
日本超音波医学会認定超音波検査士
(循環器領域:3名、血管領域:1名、消化器領域:2
名、体表臓器領域:3名、泌尿器領域:1名)

病理検査

病理検査とは

病気の診断や原因の究明を目的として、手術または検査の目的で採取された臓器、組織、細胞などを対象に顕微鏡等を用いて詳しい診断を行うことです。

診断は病理学会認定の病理専門医が行っています。

病理検査のいろいろ

  • 細胞診断
  • 組織診断
  • 免疫組織化学染色
  • 手術中の迅速診断
  • 病理解剖

【細胞診断】
人体から剥離された細胞や、腫瘍を穿刺して採取した細胞から顕微鏡標本を作製し、細胞検査士と病理医により診断報告書が作成されます。

喀痰中 尿中
喀痰中に見られた腺がん細胞
パパニコロウ染色
尿中に見られた尿路上皮がん細胞
パパニコロウ染色

【組織診断】
手術で摘出された臓器は、病理医が肉眼で病変の部位、大きさ、性状、広がりを確認し、診断に必要な部分を必要な数だけ切り取ります。切り取られた組織は、国家資格を持つ臨床検査技師が標本作製を行います。
病理医が標本を顕微鏡で観察し、病変が良性か悪性か、悪性の場合は転移の有無などを診断します。
必要な場合は、特殊染色や免疫組織化学染色を施行し、遺伝子検査の標本作製なども行います。
また、内視鏡で胃、大腸や肺の病変の一部を採取した「生検」の標本作製、診断も行います。

組織像 組織像拡大

内視鏡で採取された2mm大の胃生検の組織像



免疫組織化学染色
通常行う一般染色(ヘマトキシリン・エオジン染色)で確定診断出来ない場合は、免疫組織化学染色を追加して行います。免疫組織化学染色は、抗原抗体反応を利用して細胞骨格、細胞成分、ホルモン、腫瘍関連抗原、免疫グロブリンなどを検出します。

自動免疫組織化学染色装置
自動免疫組織化学染色装置

【手術中の迅速診断】
手術前に病理診断がつかない場合や病変の広がり等を確認したい場合は術中迅速診断が行われます。
術中迅速診断では、手術中に採取された病変組織を20分程度で病理診断し、診断結果は執刀医に連絡され、手術方針が決定されます。病変がとりきれたかどうかの確認や、がんの転移が疑われる部分を調べて手術で切除する範囲を決める場合にも、術中迅速診断は役立ちます。

凍結切片作製装置(クリオスタット)

凍結切片作製装置(クリオスタット)

【病理解剖】
ご遺族の承諾のもとに、病死された患者さんのご遺体を解剖させていただくのが病理解剖です。
生前の診断は正しかったのか、病気の進行状態、治療の効果、死因は何か、といったことを判断します。

病理組織診断までの流れ

当院では生検組織検体は採取から病理診断報告まで早くて3日間、平均で1週間かかります。
手術検体に関しては、1週間~2週間かかります。

病理組織診断までの流れ

自動包埋装置   組織ブロック作成

自動包埋装置

組織ブロック作成

薄切ミクロトーム     自動染色封入装置

薄切ミクロトーム

自動染色封入装置

病理検査実績

2016
年度
2017
年度
2018
年度
2019
年度
2020
年度
2021
年度
2022
年度
組織検査 3,780 3,803 3,753 3,809 3,440 3,640 3,578
術中迅速検査 82 78 65 89 84 90 78
細胞診検査 4,964 5,124 4,925 5,047 3,911 4,109 3,999
病理解剖 8 11 10 16 3 10 4

スタッフ 臨床検査技師 5名(日本臨床細胞学会認定細胞検査士3名、認定病理検査技師1名)
非常勤病理医 6名



臨床検査技師のチーム医療貢献

糖尿病診療チーム

臨床検査科では、糖尿病診療チームの一員として糖尿病教室や院内の血糖測定器の管理を行っています。
血糖測定器は、各病棟や診療科など60台を保有しており毎月、機器のコントロールやセンサーの期限確認を行い、常に正確な検査値を測定できるように管理しています。
また、血糖測定器の故障にも24時間体制で対応しています。

臨床検査科の血糖測定器 各病棟の血糖測定器

臨床検査科の血糖測定器

各病棟の血糖測定器

QC管理ソフト 管理機器

QC管理ソフト

コントロールの管理には、QC管理ソフトを使用して院内すべての血糖測定器の状態を把握しています。

院内感染対策チーム(ICT)・抗菌薬適正使用支援

臨床検査技師は検査の専門として、チームに参加しています。
ICTでは耐性菌のサーベイランス、アウトブレイクへの対応や院内ラウンドに参加し、院内の感染伝播の阻止を支えています。また、地域との感染対策の連携を図るカンファレンスにも参加しています。
ASTでは、血液培養陽性患者や耐性菌検出患者、長期抗菌薬投与患者の適切な検査の実施・検査結果を確認し、主治医やチームの中で情報をスムーズに共有できるよう努めています。

NST

メンバーには医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、言語聴覚士、臨床検査技師、事務職員が関わっています。主なチーム活動としては経腸栄養の患者様で下痢が続いている場合には、整腸剤や食物繊維の提案。薬の副作用の確認。必要に応じた薬剤の変更や経腸栄養製品の変更を提案しています。

国家公務員共済組合連合会 平塚共済病院

〒254-8502 神奈川県平塚市追分9-11 TEL 0463-32-1950

お電話、おかけ間違えの無い様ご注意ください。

※17:15~翌8:30までは、内容によってお応えできないものがございます。ご了承ください。

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